今回は、左のアナログスティックに「ドリフト現象」が現れてしまうPS4コントローラを友人から譲り受けたのでこれを修理していきます。
右ではなく左のアナログスティックが勝手に動いてしまうのは少々珍しい個体なのかもしれません。
友人曰く、調子が悪くなり一度軽く分解し接点復活剤を吹きかけたとのこと。
その後しばらくして、左アナログスティックが致命的にドリフトしたと言うので。恐らくは接点復活剤が何かしらの原因で不具合を生じているように感じられます。
実際に分解して状況を見てみないとなんとも言えませんが。
では早速見ていきましょう!
外観状況
まずは外観からチェックします。
カラーは限定色のゴールドですね。
初販は2018年11月、この個体は2020年9月頃に数量限定で再販された物のようです。
コントローラの表面
外観はキズや擦れなどなく使用感があまり感じられません。
とても綺麗な状態で、あまり使っていないように感じました。そんなに使っていなくてもドリフトしてしまうんだなとしみじみ思います。
アナログスティックのモジュール基板(サイコロ基板)に運悪く早々に、埃やゴミが入り込んでしまえば「ドリフト現象」は発生してしまうので仕方ないのかもしれません。
コントローラの裏面
表面と背面では色合いが違いますがPS4純正コントローラです。
型番は「CUH-ZCT2J」
のちのち分解しますが、内部のメイン基板は「JDM-55」でした。
一番新しい個体のPS4コントローラのようですね。
事前の動作確認
Gamepad Testerを使い事前の動作チェックをします。
ほとんどのコントローラを認識し、各ボタン・軸を数値で表示されるのでとても便利です。
そして実際にゲームをプレイしてみてどの程度の不具合なのかも確認します。
ソフト上での数値
△今回のPS4コントローラの数値です。
左のアナログスティックの上下方向(軸1)の数値が‐0.89020。
「ドリフト現象」が発症してしまう数値が0.1以上となっているので、それを遥かに超えています。これはほとんどアナログスティックを倒し込んだくらいの数値です。
ここまでぶっ飛んだ数値ですと、アナログスティックのモジュール基板(サイコロ基板)が物理的に壊れて(割れて)しまっている事も想定します。恐らくはゴミが入り込んでいるせいだとは思いますが…。
実際のプレイでは
実際にAPEXLEGENDSをこのコントローラでプレイしてみました。
左スティックが勝手に上方向に動いてしまうので、キャラクターが勝手に前進しアイテムを拾うのも難しく猪突猛進状態。
プレイ出来なくはないが、結構なストレスを感じるレベルでした。
サイコロ基板の外観
分解しメイン基板に取り付けてあるアナログスティックのモジュール基板(サイコロ基板)の外観を見ていきます。
PS4純正コントローラ分解方法は割愛します。分解に関してはこちらを参照してください。
破損などの確認
見える範囲ではサイコロ基板に外傷は見られません。
メイン基板もとても綺麗な状態です。
表面がテカテカ
画像では分かりにくいですが、全体的にテラテラして油を被ったような状態に見えました。
恐らく、接点復活剤が乾かずにそのままの状態なのでしょうか。無駄な油分はゴミを呼ぶので無水アルコールで清掃です。
センサー部開口
自分の中でここが原因だと思っていたセンサー部を開いてみました。
センサー部の開き方に関してはこちら。
ゴミの温床に
開けてみるとやはりゴミが溜まっていました。
テカテカしているのが接点復活剤で、それにこびりつくように黒くゴミが付着しています。
パッキン側もギトギトしていて汚れています。
擦れて削れたものが乾いていない接点復活剤と一緒になりゴミの温床になっていたようです。
センサー部清掃
センサー部を清掃しました。
テカテカの接点復活剤と黒いゴミを除去しました。
パッキン側も同様に無水エタノールを綿棒に染み込ませ軽く撫でます。汚れが綿棒に付着しなくなるまでこれを繰り返します。
清掃後は組み直して動作確認をします。
動画でもやり方を軽く紹介していますので参照していただけたら幸いです。
事後の動作確認
PS4純正コントローラの場合、バッテリーは繋げずにメイン基板にささる配線2本(タッチパット側とUSB給電側)を接続すればGamepad Testerが反応してくれます。
完全に組み立てる前に動作確認が出来ます。
清掃後の数値
アナログスティックのモジュール基板(サイコロ基板)のセンサー部の清掃後のGamepad Testerの数値です。
問題となっていた左スティックの上下方向(軸1)の数値は0.01176。0.1以下となりかなり良好な数値に落ち着きました。
実際にゲームをして試しましたが、問題なく「ドリフト現象」が再現する事はありませんでした。
まとめ
今回は友人から譲り受けた左スティックが酷くドリフトしてしまったPS4純正コントローラを修理してみました。
修理といっても内部のアナログスティックのモジュール基板(サイコロ基板)のセンサー部を清掃しただけですので、慣れてしまえば数分で完了できてしまいます。
今回の件で分かった事は接点復活剤も使い過ぎるとゴミや汚れを呼び寄せ「ドリフト現象」を悪化させてしまうという事です。
接点復活剤の本来の使い方としては、金属接点部分の洗浄・防錆・潤滑に使われゴミやホコリが付着しやすい箇所に対しては極少量または拭き取らなければならなければなりません。
ですので、今回のようなコントローラのモジュール基板(サイコロ基板)に対して使用する場合は接点復活剤を吹きかけたとしても極少量または除去しなければゴミやホコリの付着によりドリフト現象は再発してしまうでしょう。
使用した工具等
今回の修理で使用した工具などを紹介します。
もし同様に清掃する場合の参考になれば幸いです。
精密プラスドライバー
コントローラの分解で使用しました。
PS4純正コントローラでは合計5本の精密プラスネジがあります。
これがないと分解は始まらないので1セットは持っておきたい物です。
精密マイナスドライバー
サイコロ基板のセンサー部を開くのに使用しました。
マイナスネジが使われている箇所は少ないので、隙間をコジったり等の違った使い方をする事が多いと思います。
ピンセット
ケーブルの抜き差し、センサー部の細かな部品を取り出すのに使用しました。
細かな部品を摘まむ等、指では摘まみにくい場合あると便利です。
無水エタノール
各部品の洗浄に使用、スプレータイプが便利です。
エアダスター
余分な無水エタノールを吹き飛ばしたり、ゴミやホコリを吹き飛ばすのに使います。
綿棒
綿棒に無水エタノールを染み込ませ、こびりついた汚れを落とします。
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