皆さん、こんばんは。
マキシです。
ゲームコントローラのカスタムや補修をしていると必ず出くわす「サイコロ基板」の交換修理です。
この部品が持ち合わせている工具によりますが、初心者が取ろうとすると苦労するものです。
今回は、ゲームコントローラのスティック内部に搭載されている「サイコロ基板」と呼ばれる部品を初心者でも簡単に取るための材料の作り方を紹介したいと思います。
一度作ってしまえば簡単に「サイコロ基板」の交換や、その他の電子機器の取り外しが楽になるアイテムなので、是非、最後まで閲覧していただけると幸いです。
サイコロ基板とは
サイコロ基板とは、ゲームコントローラーのスティック内部にある小型の可変抵抗器です。
これはゲームコントローラー内部のメイン基板にはんだ付けされています。
PlayStation系コントローラ、Xbox系コントローラ問わずほとんどのコントローラーには似たような形状で搭載されています。
耐久性は高いとは言えないため、スティックを入力していないのにゲーム内でキャラが勝手に動いてしまう等の「ドリフト現象」が起こってしまいます。
ドリフト現象とは
ドリフト現象とは、スティックを物理的に操作していないのにゲーム内でキャラが勝手に動いてしまう等の事を言います。
新品のサイコロ基板でも起こってしまう事もしばしばありますし、ゲーム内の設定、例えばApex Legendsでは「リニア設定・デッドゾーンなし」にするとその症状は顕著に現れます。
ドリフト現象の直し方
まずドリフト現象が起こる原因ですが、主に2点あります。
1つ目は、可変抵抗器のセンサー部の汚れやゴミによるもの。
2つ目は、過負荷による物理的な故障です。
1つ目の、汚れやゴミによるものであればサイコロ基板を外さずに清掃だけで済みます。
2つ目の、物理的な故障の場合はサイコロ基板の交換が必要になります。
サイコロ基板の外し方
通常であれば、サイコロ基板に付いているはんだを全て除去する必要があります。
はんだ付けを剥がせば容易だろうとおもうでしょうが、一度でもサイコロ基板を外そうとした方ならその苦労は理解できるかと思います。
はんだ付けされている個数が多く、それら全てのはんだを綺麗に取り除くのは至難の業です。
そこで低融点はんだの登場です。
低融点はんだは低い温度で溶け、再度固まるまでの時間が長いのでサイコロ基板が取り外し易くなります。
市販の、例えばあすかリムーバーは特殊な配合によってかなり容易に取り外す事が可能ですが、その分お値段が張ります。
そこで、そこそこの性能と値段で容易にサイコロ基板を取る事ができる方法を伝授します。
低融点はんだを作る
今回、紹介する方法は比較的簡単な方法ですが、火器を使うため火傷や火事に十分注意が必要です。
おこなう場合は、自己責任でお願いします。
ビスマスチップを用意する
ビスマスという金属を用意します。
ビスマスとはんだを合わせた合金は低い温度で溶けます。
ビスマスはAmazon等で容易に買うことができます。
おおよそ100gで1000円ほどで手に入れる事ができます。
今回、100gのビスマスチップを購入しましたが、量の管理は杜撰なようで合計で120g届きました。
ビスマス:はんだを同量用意する
次に、ビスマスと同量のはんだを用意します。
今回は10gのはんだを用意しました。
サイコロ基板を外すだけなら5回分以上は出来る量です。
ビスマスチップも10g用意します。
ビスマスチップはラジオペンチなどで捻れば簡単に割る事ができます。
ボロボロとこぼれるのでアルミ箔等の上に置きましょう。
今回は計量測りでコンマ1g単位で測定しましたが、数グラム程度の誤差は性能に差異はあまりありません。
ビスマス:はんだを溶かす
ステンレスパットの中にアルミ箔を2重に敷き、同量のビスマスとはんだを入れます。
ガスバーナーで熱します。
混合物が跳ねる可能性があるので保護メガネを、火傷の可能性があるので保護手袋を着用しましょう。
また、有毒なガスが発生する場合があるのでマスクの着用や換気をよくしましょう。
表面に黒いツブツブが浮かんできますが、これは不純物です。
気になる人は半田ごての先などで取り除きましょう。
熱いうちに形成する
溶けて数十秒は固まらないので、アルミ箔を折り畳み細長く形成します。
もしくは、自分が使いやすい形に形成します。
完全に固まり、熱が冷めた事を確認したら完成です。
実際に使ってみる
今回は、PlayStation4純正コントローラのメイン基板を用意しました。
ある程度、はんだを除去した状態のものです。
ペースト状のフラックスを用意します。
液状のフラックスは垂れてしまうので今回は使いません。
フラックスは、はんだの乗りを良くするためのものです。
作った低融点はんだにはフラックスが含まれていないので、簡単には溶けますが他のはんだと馴染みが悪いので使います。
低融点はんだを乗せる箇所にペースト状のフラックスを塗ります。
作成した低融点はんだをはんだ付けしていきます。
ペースト状のフラックスを塗ったため、元々のはんだと馴染みました。
低融点はんだと混ざったため、数秒経っても緩い状態が続いています。
半田ごてで温めながら、コテ先で押し込むとサイコロ基板がスルッと抜けました。
スルーホール周りに残ったはんだを、はんだ吸い取り線で綺麗に除去します。
イソプロピルアルコールやエタノールで清掃して完成です。
これで新しいサイコロ基板を取り付ける事が出来ます。
簡単に作れる低融点はんだ
今回は、簡単に作る事が出来る低融点はんだと、それを使う事で今まで苦労していたサイコロ基板の外し方を紹介しました。
ビスマスチップ自体100gで1000円ほどと安価ですので手が出しやすいと思います。
注意点と言えば、すぐには固まらないので火傷には気をつけましょう。
サイコロ基板の取り外しにはビスマスとはんだで十分な性能ですが、もっと低い温度で溶けるようにしたい方は銀などの他の金属を混ぜる必要があります。
しかし、その分かかってしまう金額が増してしまいます。
低融点はんだを作る事が難しい方は、あすか修繕堂さんが販売している「あすかリムーバー」を使いましょう。
こちらの製品は、今回作成した低融点はんだよりも溶けやすく使い勝手が良いです。
値段が少々高いですが初心者にはおすすめです。
コメントを残す